On Liberty 12
- scallopshcolarship
- 2024年7月24日
- 読了時間: 3分
更新日:4月28日
JOHN STUART MILL
On Liberty and The Subjection of Women / Edited by ALAN RYAN (PENGUIN CLASSICS)
読んだ箇所:On Liberty Chapter P117-122
最終章、内容が濃いので短いページ数でブログ書いていく。
今回は、親の義務と教育について。
前回も軽く言及したけど、『自由が尊重されるべき範囲で自由が守られず、自由を適用すべきでない領域で自由が許されている。』ということが繰り返し述べられている。ミルの言う、自由を制限して市民の義務とすべきものの一つが教育や子どもの扶養。やっと読書の内容が当ホームページのテーマに迫ってきました。
P118 It is in the case of children, that misapplied notions of liberty are a real obstacle to the fulfillment by the State of its duties.
子どもと親は一体ではないので、親が子どもをどう扱おうが親の勝手、ではない。生まれた子どもを養い教育するのは親と社会の義務であるという。
P119 It still remains unrecognized, that to bring a child into existence without a fair prospect of being able, not only to provide food for its body, but instruction and training for its mind, is a moral crime, both against the unfortunate offspring and against society;…
ちなみに、教育の内容については自由を擁護している。
P119 All that has been said of the importance of individuality of character, and diversity in opinions and modes of conduct, involves, as of the same unspeakable importance, diversity of education.
P119 A general State education is a mere contrivance for molding people to be exactly like one another: and as the mold in which it casts them is that which pleases the predominant power in the government, whether this be a monarch, a priesthood, an aristocracy, or the majority of the existing generation, in proportion as it is efficient and successful, it establishes a despotism over the mind, leading by natural tendency to one over the body.
(一文が長いんよ…。愚痴。)
なんか、大意としてはゆたぼん(小学生当時)の主張とそう変わらないような気がする。お上による教育は同じような人間を作るための鋳型なんや。その教育が効果を発揮すればするほど、子どもは統治する側に都合の良いように心と身体を支配されてしまう。て言ってるよね?
文科省に猛反論されそう。「今は公教育でも子どもの自主性を尊重しています!」て。
ミルが考える社会が義務として子どもに教えるべき内容は、言語と科学、その他一般的に求められる色々な知識。宗教や政治のように見解の一致が求められない事柄については公の教育で偏った見方(これが正しい、あれは誤り)を教えるべきでなく、議論の前提となる事実・知識(誰それはこう主張した、誰それはそれに反論した等)を身につけさせるべきだとしている。例として、哲学を学びたいならカントとロックの書いたことについての知識はいるでしょ、その主張を受け入れるかどうかは別として。と言っている。
ちなみに、国などが、社会の教育水準を保障するために子どもを試験したり、職業のための資格試験を設けたりするときには、その合否判断に不適切な恣意性が及ばないようにすべきだし、その試験によって与えられる保障に過度な権威をつけるべきではないと言っている。
あと、P122ではちらっと「人口過密気味だから、むやみにたくさん子どもを作るんじゃない」というようなことを主張している。
感想
今は教えるべき内容がめちゃくちゃ多いからなぁ~。まず、日本語ってたくさん漢字を覚えないといけないし。情報(高校)とかプログラミング(小学校)も必修になったんでしたっけ。そんでもって各科目の試験がわりと難しいんよな~。ミルの言う通り、テストの内容は知識中心だけど、その分お花の各部の名称(理科)とか、年号(歴史)とか、覚えないといけないことが膨大で、若者の時間と脳とエネルギーを無駄遣いしている気がするよ…。もっと読書レポートとか研究レポートで済ませられないかね。
ちなみに、日本の義務教育にはミルが提案していたような“一定の水準に達したかどうかを確かめる義務的な試験”はないし、義務教育で留年することもほぼないようです。やったね!
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