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On Liberty 4

  • scallopshcolarship
  • 2024年5月16日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月28日

JOHN STUART MILL

On Liberty and The Subjection of Women / Edited by ALAN RYAN (PENGUIN CLASSICS)

読んだ箇所:On Liberty ChapterⅡ前半

 

感想

ぽつぽつと、どきりとすることが書いてある。

“A criminal who by raising himself above the law, has placed himself beyond the reach of legal punishment or control”

引用文にあるような犯罪者を民間人が私的に打ち倒す行為は、すべての国から、さらには最良の賢人たちから、犯罪ではなく気高い善行とみなされている、とある。さらに、これは暗殺ではなく市民戦争といった性質のものである、と。

これって今の日本で言ったらバンされそう。検察が捕まえられない犯罪者、権力者って、あれでしょ?って、みんな思うよね。

そして、トランプ大統領に言われて議会議事堂へ向かった人たちも、似たようなことを考えていたのかもしれない。

 

中盤で、ソクラテスやキリスト、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスを例に出して宗教的信念と善意から最悪の結果が導かれうることや、ある地域・時代において異端で犯罪者とされた人物であってもその評価は変わりうるのだということを説明している。

これは本当に…信徒って狂犬化することあるよね。

宗教に限らず、あることに熱心な人たちが反対意見を「そんな思想は社会の害だ!社会の秩序を壊してはならない!」て暴走して「害になる思想をもつやつらを退治しろ~!」ってなると悲劇が生まれる。

ちなみにミルさまはマルクス・アウレリウス帝を崇拝しているようです。ソクラテスやキリストに比べて誉め言葉のバリエーションがすごい(笑)。

どんだけ誉めるん。この人の伝記読みたくなった。

 

当時のイギリス社会を批判するような指摘も多い。

ミル自身が非キリスト教徒だったわけではないけど、無神論者や異教徒を否定もしていない。

そして、インドを統治していたイギリス政府の高官がインドの学校に対して「聖書を教えない学校に公費を与えない。そのような学校の教師は公務員ではない。」と発言したことを非難して、このような人間が、リベラルな国の政府の一員としてふさわしいのだろうかと問うている。

あー、これも少し前の日本の政治家とそっくり…。

社会は19世紀から進歩してないのか。それとも日本の民主主義がイギリスの19世紀レベルなのか。

人の意見を聞かない人間、多様な考え方を認めない社会は進歩しないというミルの指摘は正しいんだ。ただ、言論さえ自由なら社会が進歩するわけじゃなくて、社会の権力の仕組みとか、お金の問題とかもある気がする。

 

 

自分なりのまとめ

思想と議論の自由について。宗教に絡めての説明が多い章だった。

言論の自由を守ると社会の利益になる理由がいくつか説明されている。

功利主義者らしく、長い目で見て人類の利益(幸福)が増すというのを基本原理にして以下の点を挙げている。

①  例え一人でも違った意見を持つ者がいたら、その人を黙らせることは多様性の観点から将来含めた人類の損失になる。

②  間違っていることが確実にわかる意見は(数学の分野以外で)存在しない。

反論するのではなく黙らせるのは、自分の意見が絶対に正しいという根拠のない主張をしているのと同じである。

③  社会の秩序のために異議を唱えないほうがよい、誤りを指摘せず言われたまま信じたほうがよい考えというものはあるか。

ない。社会の役に立っているかどうかについて異議がありうるし、信じるべきかどうか知ろうとするなら、それが真実かどうかを考慮しないわけにはいかない。

④  神や死後の状態などのキリスト教の教義についても法律で保護しなくてよいのか?

神を信じることは自分の無謬性を主張しているのと同じだというのか?

どんな教義であっても信じること自体は無謬性を主張することではないが、他人の問題の答えを勝手に決めつけて反対意見を聞かせないことが、自らの無謬性を主張していることになる。

また、宗教的理由によって賢人を死刑にしたりするのは人類の損失である。

 

ミルが推奨する態度

①  自分の意見を他人の意見と比較する。様々な人の意見、あらゆる異議を聞いたうえで判断する。

ちなみに、ある考えを人から教わり、同じ人からそれに対する予想される反論とそれに対する再反論を教わるのは良くない。反論は、本気で反対している人から聞くべきである。

②  自分が正しいと思っても、他人にそれを押し付けてはならない。

③  自分の考えた意見が世の中の少数派、異端だったとしても、それを理由に黙るべきではない。正しい意見、より正しい考え方が広まっていかないのは社会の損失である。

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