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「ポスト政治の政治理論」6

  • scallopshcolarship
  • 2024年1月26日
  • 読了時間: 3分

読んだ本「ポスト政治の政治理論」 松尾隆佑 2019年 法政大学出版局

P210-255

「民主的企業統治の擁護」 松尾隆佑

 (「法と哲学 第7号」2021年6月 信山社、P145-171)


予め知っていたこと、聞いたことはあったことの復習

責任ある消費、社会的責任投資、エージェンシー問題、

ドイツの共同決定法、職場デモクラシー、産業デモクラシー、構造的支配


新しく知ったこと、覚えたこと、印象に残ったこと

ポ・P209「このように遍在する統治に対してステークホルダー・デモクラシーは、国家機能への働きかけよりも、市民社会の内部に自律的な問題解決能力を育てることを通じて、統治能力と民主的正統性のジレンマに向き合おうとする。」

ポ・P215「事実上の権力を有する非国家主体の事業過程そのものを政治的に焦点化することで、市民社会内部の変革を通じたグローバルな民主化を志向している」

・経営学と行政学は縁が深い。

テクノクラシー:テクノクラート(専門家、科学技術者)が市場や政府を管理運営することが合理的だという考え方。

ポ・P239「規範的性格の強い学説にとどまらず、経験的研究においても、企業統治論におけるステークホルダー・アプローチは妥当性が支持されている。」

ポ・P240「相互に対立する利害の均衡を図る多元的統治の方が、より効率的な企業統治を可能にすると考えられる」

・グローバル・コンパクト

共和主義(Republicanism : Pettit, Philip):他者による恣意的な干渉やその可能性の排除が保障された状態を求める立場

私的政府(private government : Anderson, Elizabeth):制裁に裏づけられた命令を発することができる権威をもち、被治者に対して恣意的で非答責的な存在(国家に限らない)

法P157「当該政府のもとにある人びとを自由にする唯一の方法は、政府が被治者に対して答責的となるようにすること、私的政府を公的政府に置き換えることである。」

・ギグエコノミー

・被影響性の判断基準として、人権を脅かす程度が有力


感想・解釈メモ

 「法と哲学」高かった…。でも、2019年出版の「ポスト政治の政治理論」第4章での論点に加えて、新たに「人権」という視点が出ていた。2022年出版の「3・11の政治理論」につながるポイントだ。これを踏まえることで、「3・11の政治理論」第2章で論じられていた政策分析における専門家の役割という点についても理解が深まったと思う。


 そもそも松尾さんを知ったのは、職場デモクラシーとか会社経営への従業員参加について調べていたとき。だからそもそも「民主的企業統治の擁護」に一番興味があったんだけど、単著として書籍化されていなくて図書館にもなかったので後回しになっていた。ようやく読めたよ。

 なぜ職場デモクラシーについて調べていたかというと、前務めていた会社で社長が「ROEを高める意識をもって業務に取り組んで」的なことを管理部門の社員一同に対して述べたのがカチンときて、以来そのことがずっと心に引っかかっていたから。

 ROE高めて得するの株主やん。(社長は役員報酬として株式を受け取る仕組みを作った。)従業員にとって利益がないことを、従業員のモチベーションにしようとする不条理。会社の不利益にならない限り、どういうことを仕事の目標にしようと従業員の勝手でしょ、と思った。経営者マインドと労働者マインドは違うし、経営者マインドと株主マインドもイコールではないはず。社員みんなが経営者マインドを持って株主志向になるとか、現実を見ないきれいごとなんよ。

 そんな気持ちで労働経済学の本だったり、マルクス経済学からの影響が深い日本の学者さんの本だったりを読んできた。

 今回私の心にすーっと入ってきたのは”利害対立を認めて議論した方が結果的に効率的な統治になる”ということ。力を恃みにして異なる意見を無視したり自分の意見を押し通したりすることが一見効率的に見えるけど、ずっとそうしていたら中長期的にはうまくいかなくなるってことだよね?だから、民主的とか多様性とか平等とかが大事なのは、きれいごとじゃない。頑張ろう、リベラル。

 
 
 

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