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「新版 原子力の社会史」3

  • scallopshcolarship
  • 2023年10月26日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月28日

読んだ本 新版 原子力の社会史 吉岡斉 2011年 朝日新聞出版 250-399P(終)

予め知っていたこと 1980年代から、先進国では行政改革や新自由主義の台頭による社会変化が起こる。 京都議定書:温室効果ガス排出削減の数値目標導入 原子力発電は発電時に二酸化炭素を排出しないので地球温暖化対策になるといわれている。 2001年中央省庁再編。その後原子力政策は旧通産省(現経済産業省)の所轄となった。 2011年東日本大震災、福島第一原発事故

新しく知ったこと、覚えたこと、印象に残ったこと

新自由主義の考え方が政治にも反映されて、国鉄や全日空、現NTT、郵政等の民営化が行われたが、原子力発電事業に関しては国と民間が協調して推進していく方式が継続した。 民主党政権でも原発推進は変わらず、さらに、途上国に対するインフラ輸出として原発システムを輸出する方針が打ち出された。 一方で90年代後半以もんじゅ、核燃料再処理工場、発電所など原子力関連施設での事故、不祥事が相次いで発生。 99年に原子力災害特別措置法が制定されたが、2011年の原発事故発生時に生かされなかった。


感想・解釈メモ 経済合理性の怪しい原子力の民間利用(発電)になぜ民間企業が従事し続けているのか。 この疑問に対する答えはばかばかしいものだった。 経済合理性っていうと、原発関連の諸々のコストとリターンを全期間にわたって見積もって、リスクを勘案して現在価値を出してという感じになると思うけど、原発に関してはリスクとコストが未知数。そもそも使用済み核燃料の再処理や最終処分について実現可能性・実現時期が不明(計画はあっても延期や追加コストの発生が許されているうえ、ブレ幅が大きい)。また、深刻な原子力災害が起こった場合に電力事業者が自社の責任で災害復興・被害回復することが不可能(お金の問題ではないこともある)なため計算にそのような事故を想定して反映することができない。実際に福島原発事故に関して東電から「想定外」という言葉が出た。 でも原発を建てたり発電したりしている間電力会社は利益を出し、国内原発メーカーも利益を得るので原発をどんどん建てた。原子力技術を国内開発したい国とのお付き合いで、電力自由化も防げた。高度経済成長時代、電力需要が増えていくことに対応できた。石油による火力発電に依存しすぎることにエネルギー安全保障上の問題もある。 ……人間って賢いのか愚かなのかわからんくなるわ。 あと、過去に原子力関連施設でマニュアルから逸脱した行為やデータ改ざん及び事故の隠蔽が複数あったという事実に凹んだ。 雇われて働いてると、データ改ざんは日常茶飯事だと思う。日々のサービス残業とか。 改ざんではないけどチェックの意味がなくなる例として、異常値に理屈をつけて、理由があるから異常じゃなし、よし!とか。 本当に例外である理由があればいいんだけど、それよりもなんか異常値出たって報告しにくいからなるべく異常値出したくないという意図が働きだして。 何の責任もない下っ端の私がこれだったんだから、日本の会社組織に順応して出世してきた人たちが事故の隠蔽するのは理解できてしまう…。 でも、他人に被害を発生させてしまったら責任をとらないといけないと思う。 責任が負えないほどの被害発生を防ぐことはできなかったのか? (責任は現在進行形で負っています!果たしてます!という意見もあるのでしょう。)

関連・発展学習

行政改革と調整のシステム 牧原出 2009年 東京大学出版会

「原子力の社会史」でも頻繁に出てきた“諮問機関の報告書”なるもの。政策に関して“諮問機関の報告書”がお墨付きを与える。

そして、諮問機関の報告書づくりには事務局である官庁の職員が重要な役割を果たしている。

竹中平蔵氏について書かれた本「市場と権力」(佐々木実 著)でもこの話よく出てきた。


原子力政策の歴史に関する読書を終えて、今後は「3・11の政治理論」(松尾隆佑 著)を読んでいきます

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