「3・11の政治理論」3
- scallopshcolarship
- 2023年11月19日
- 読了時間: 3分
P81-102(第5章)
予め知っていたこと、聞いたことはあったことの復習 Dahl, Robert A. 非影響利害原理(the principle of affected interests): ある政治的決定の影響を受ける者は誰でも、当の決定の作成過程に参加する権利を持つべき Bauboeck, Rainer ステークホルダー・シティズンシップ(stakeholder citizenship):「特定の政体に諸個人の根本的な諸権利の保護を委ねるとともに、諸個人の福祉を同じ政体の共通善へと結びつける」ような、メンバーシップそのものに対する利害関心を参政権承認の根拠とする 新しく知ったこと・覚えたこと・印象に残ったこと P91「民主的政体における政治的メンバーシップは、境界横断的なシティズンシップの承認を通じて、多重化されるべきなのである。」
同「政治的平等を一人一票としてのみ解することは、修正されるべき誤りである。」
感想・解釈メモ 二重の住民登録について、研究者の間で支持されていただけでなく、総務官僚の中にも現実的な選択肢として捉えている人(山﨑重孝、片山善博など)がいたとは知らなかった。 本書P66-69で書かれていた「創造的復興」の問題点。そして、P83「避難者が帰らない/帰れない反面で、被災地には創造的復興の一環としてさまざまな施設が誘致され、その建設や運営に従事する新住民が流入するため、自治体の人口は次第に入れ替わりが進んでいく。このような現実のなかで、帰らない/帰れない「住民」は地域の将来構想から疎外されやすくなるのである。」 脚注でナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」、“惨事便乗型資本主義”に触れられていたので、とり急ぎ手短に内容を知りたくて“100分de名著”シリーズ、堤未果さんの「ナオミ・クライン ショック・ドクトリン」(NHK出版 2023年)を読んでいるが、やはり同じパターンが見いだせる。 大災害で家や生活に必要な施設が破壊される⇒元の住民たちに寄り添った生活再建が行われない。むしろ更地ができて良かったと言わんばかりに、お上主導で新しい街づくりをする。⇒地域が様変わりしてしまい、元の住民が疎外される。 本書はこのような復興のあり方(政策)について「それは正統な政治的意思決定だろうか?(納得できるか、自分も協力したいと思うか。)」ということを考えさせてくれる。 原発事故による避難者は、避難先で住民としての権利が保障されるべきであるのと同時に、元の自治体の復興過程に関与する権利があるというのが筆者の考え。 私は故郷に思い入れがないのでぴんと来ないところがあるが、祖母などは家に鍵をかけない、ご近所さんが突然家に入ってきて話しかけてくるような地域に生涯暮らしていたので、故郷が大事な人たちがいるのはわかる。私の様な人間も多いだろうし、祖母のような人間もいるが、この国を動かしている人たちって、大学入学で故郷を出てその後も東京などの大都市で暮らし続けるパターンが多いと思うので(わかりやすい例では東大からの霞が関とか、海外留学して政治家とか)、「郷土愛」とか希薄なのでは。 (政治家は毎週末地元に帰ると聞くけど…。どうなんだろう? 日本の政治分野の有名人があまりにも東大出身率が高いので勝手に想像してしまった。)
それでも、ステークホルダー・シティズンシップの理念は一応誰でも理解できると思う。理論的に説明されているから。(もちろん批判・反論はあろう。)
分野を問わず、すべての理論家は突き詰めると哲学者になるそうな(うろ覚え…。)。ガチの哲学書は読めない私だけれど、ちょっとだけ理屈や哲学の大事さを感じた。
関連・発展学習 本章で取り上げられている今井照さんの『自治体再建―原発避難 と「移動する村」』(筑摩書房、2014 年)、 二重の住民登録に関連して「地方創生の正体: なぜ地域政策は失敗するのか」(山下祐介、金井利之 筑摩書房 2015年)などが気になる。 気になる関連文献が増えてきたので、いったん「3・11の政治理論」を読むのを中断しようかと思う。

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