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家政学について読む

  • scallopshcolarship
  • 2024年2月8日
  • 読了時間: 3分

読んだ本

家庭の中から世界を変えた女性たち ダニエル・ドライリンガー(著) 

                 永盛 鷹司(訳) 東京堂出版 2022年

P1-108


予め知っていたこと、聞いたことはあったことに関連すること

エレン・スワロウ・リチャーズ (1842-1911):科学と家庭(料理、衛生など)を結びつけた

「家政学」という名称は1899年、レイク・プラシッド会議で定められた。

アメリカ南北戦争 (1861-1865)後、アメリカの大学は黒人(アフリカ系アメリカ人)や女性に対する大学教育を拡大

ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ (1852-1943):ケロッグ夫妻の支援を受けたレナ・クーパー(1875-1961)はアメリカ家政学会の創立メンバーで、食事療法学者として第一次世界大戦時、負傷兵のためのメニュー作りに貢献した。

ベジタリアンは肉の代わりに豆を食べる⇒第一次世界大戦時の食料節約メニューとしても活かされた


初めて知ったこと、印象に残ったこと、覚えたこと

アーヴィング・フィッシャー(1867-1947):アメリカの著名な経済学者だが、この本では優生学を支持していた大学教授としてケロッグ夫妻との関係を紹介されている。

エレン・リチャーズがシカゴ万博(1893)で食堂を運営した際の以下の描写…

P48「グラフや器具がたくさん展示してあるその木組みの建物で、延べ1万人が完全に規格化され栄養学的に最適化された豆スープとアップルケーキ、あるいは魚のクリームソース焼きと焼きリンゴ、あるいは牛肉のブイヨンとジンジャーブレッドを、パンとバターと一緒に食べた。」

これを読んで、工場作業に関する科学的管理法で知られるフレデリック・テイラー(1856-1915)を連想した。後のマクドナルドにつながるアメリカらしさを感じる。

(マックの食事が栄養学的に最適化はさておき)

余談だけどJ.S.ミルに夫人を略奪されたテイラーさんと、科学的管理法のテイラーさんは全くの別人だった。同一人物と勝手に思い込んでた…。


感想・解釈メモ

生活環境や家事内容を改善することで暮らしを豊かに健康的にしたいという理念をもつ家政学には、二つの方向性があるようだ。

一つはエレンに代表される、家事に科学の視点を取り入れ、女性の得意分野である料理・掃除などから健康管理・衛生管理・消費者教育系の学問・職業へつなげていった流れ。

女性が主婦として家に留まる必要はなく、知識と技能を生かして社会進出すればいいという考えで、女性が稼げる仕事づくりとしての面がある。

もう一つは、キャサリン・ビーチャーという人が書いた本がマサチューセッツ州の家庭科の教科書として採用されたにこと始まる元祖(?)家政学で、「女性の居場所は家庭にある」とするもの。保守的で、家事、道徳、知性を大事にした“良妻賢母が国を支える”的な考え。


それを始めたのは女性たちだったけれど、家政学(家庭科)が公的な教育の場で取り扱われるからには、政治家・官僚・教育機関を独占する男性陣(白人)の影響も強く受けた。

移民にアメリカンスタイルの生活様式を教えて同化させようとか、恵まれない女子たちは洗濯婦や女中になればいいから学校でそういうことを教えるのもいいねとか、家政学の理念と違うことに利用されたりもしたらしい。


家政学は女性が家庭的な視点から始めたものとはいえ、女性学ではない。

身近な生活、家庭の中のことに知性を発揮して取り組むことで、家族の生活や社会を向上させようというもので、その対象は広範囲。

そういう意味では、自然科学・哲学、社会科学・哲学に対する生活科学・哲学という分野なのだと考えた方がわかりやすいかもしれない。


発展・関連学習

松尾さんの政治理論シリーズが終わったら読もうと思って買っていたJ.S.ミルの"On Liberty"。この中に"The Subjection of Women"も収録されているので、GWまでには取り掛かりたい。お正月に最高レベルの英語特化電子辞書買ったし!


 
 
 

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